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【2023年】40代が選ぶおすすめの歴史小説ランキング幕末編ベスト3

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波打ち際の浜辺

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こんにちは、筋金入り歴女のharukaです。
2023年最新版「本好きの40代ビジネスマン1,000人を対象としたアンケート」(全国書店連合協会)を実施した結果に基づき、おすすめの歴史小説(幕末)をランキング形式でご紹介します。歴女たる私の熱い寸評(笑)に加えて口コミも掲載していますので、参考にしてくださいね。

(参考)幕末年表

1853年 ペリー浦賀来航
1854年 日米和親条約締結
1858年 日米修好通商条約締結、安政の大獄
1859年 横浜港開港
1860年 桜田門外ノ変、和宮降嫁
1862年 寺田屋騒動、生麦事件、吉田東洋暗殺(土佐藩)
1863年 下関戦争、薩英戦争、八月十八日の政変、新撰組結成
1864年 禁門の変(蛤御門の変)、四国艦隊下関砲撃事件、第一次長州征伐、池田屋事件
1866年 薩長同盟締結、第二次長州征伐、徳川家茂病死(徳川慶喜が15代将軍に)
1867年 大政奉還、坂本龍馬暗殺
1868年 王政復古の大号令、戊辰戦争(−1869年)
1869年 版籍奉還
1871年 廃藩置県

目次

3位 峠

峠|司馬遼太郎
幕末の日本で独立国建設を目指した男の辿った数奇な一生
「日本から独立?」と不思議に思われるかもしれません。この物語の主人公の河井継之助【かわいつぎのすけ(1827−1868)】は、北越戦争(戊辰戦争の一部)で官軍が眼前に迫る中、「官軍にも味方せず、幕軍にも味方せず、越後長岡藩を独立国とする」ことを大真面目に考えた人物です。
これだけ聞くと「ただの変人」のようですが、彼は言葉だけでなく実力も兼ね備えていました。江戸で佐久間象山らに学んだ後に備中松山で山田方谷に師事して、当時としては先進的な「経済学」を学びます。その知識と洞察力で「幕府の命運が尽きようとしていることがしていること」、「大規模な戦争が起こること」を察した継之助は、江戸の藩邸・家宝を売却した金で価格が暴落していた米を買い、その米を函館に運んで高値で売り払った金で、最新鋭のライフル銃やアームストロング砲、ガトリング砲を買い、長岡藩の近代兵制を整備しました。
とりわけガトリング砲は、その当時日本で3門しか存在しなかったうちの2門を長岡藩が所持していたという事実は、彼の優れた先見性を如実に表しています。
私が歴史の不思議さを感じるのは、方や官軍の総司令官となった大村益次郎【村田蔵六(1824−1869)】と、止む無くそれに対峙する形となった河井継之助という二人の英傑が、ほぼ同時代を生き、共に早世したということです。どちらも生き残っていたならば、明治維新後の日本を先導する立場の人物として活躍していたことでしょう。それが叶わなかったことが残念でなりません。この二人に直接的な親交はありませんでしたが、同時代に生き、真逆の立場に立った似たもの同士の二人の物語には、とても深く考えさせられるものがあります。大村益次郎の生涯を描いた「花神」とセットでお読みになることを絶対におすすめします!

40代男性

河井継之助は先見の明には驚かされる。しかし、幕府と縁の深い、長岡藩牧野家の家老という立場であったために、戊辰戦争では官軍と対峙することになる。徳川の御恩を思えば、薩長に降ることなど到底できない。それが主君である牧野家の揺るがぬ意向だったからだ。

40代男性

かなり評価の分かれる人物だろうと思う。新政府に恭順していれば、無駄な犠牲を払うことはなかっただろう。しかし、そのような人物であっても、現代を生きる我々が魅力を感じるのは、「矛盾を孕みながらも、守るべきものを守るために戦った」という点に尽きるだろう。武士の世の終わりを予見していたにも関わらず、「武士として滅びる」という選択肢を取った。このような一種の矛盾こそが、より良く生きようとする人間の行動に潜在的に含まれているのではないだろうか。これといった志もなく強い者に味方する日和見主義者として長生きするか、「武士」として潔く死に、後世にその生き様を残すのか。結局彼は後者を選んだ。その答えが我々現代に生きる日本人に問われているのかもしれない。

40代男性

封建制度の崩壊を見通しつつも、無骨な武士としての生き方を貫いた河井継之助の生き様を描いた小説。「死の覚悟を常に持った上で生きる意義のみを考えていく」という河井継之助の徹底された考え方・生き様が見事に描かれている。そして、このある意味不器用とも言える生き様が、読んでいて爽快感を与えてくれる。この本に書かれた河井継之助の考え方・言葉が非常に示唆に富み、その多くが現代の我々にも大いに勉強になると思う。自己啓発本と一括りにはできないが、大いに精神を涵養してくれるバイブル的な存在として手元に置いておくことを強くおすすめする。

河合継之助と陽明学

河井継之助は陽明学の信奉者でした。「陽明学」と聞くと「激情型」や「苛烈」といった印象をお持ちの方も多いのではないでしょうか?実際、大坂町奉行という立場で叛乱を起こした大塩平八郎(1793−1837)も陽明学者ですので、誤解されるのもよく分かります。
陽明学の基本的な考え方として、「致良知」【心と体は生まれた時から一体で、心が私欲で曇っていなければ、心本来のあり方は万物の理(善悪是非の判断)と合致する(良知)実践に当たっては良知を推し進めればよい(致良知)】と「知行合一」【知ること(知)と行うこと(行)は同じ心の良知から発する作用であり、分離不可能である。朱子学の「知先行後」(万物の理を極めてから実践する)であること、つまり頭で理解して行動に移すため、屁理屈ばかり言って実際に行動しないことを痛烈に批判した。】があります。
河井継之助は、幕府に義理立てのある自国が幕府を裏切ることを良しとしない一方、天皇に弓引くこともできないという究極の板挟みの中にあっても、消極的な日和見主義ではいられず、中立国(独立)構想が自然に生まれてきたのかもしれません。そして、同時に行動を伴ったのでしょう。北越戦争の苛烈さは戊辰戦争の中でも有名で、その結末は彼のある種の潔さが招いた悲劇だったと言えるかもしれません。

ベスト3じゃないけれど私がおすすめしたい本

花神|司馬遼太郎

長州征伐で勝利をおさめ、戊辰戦争を官軍勝利に導いた名軍師
3位「峠」の主人公である河合継之助と並び称される隠れた幕末の英傑・大村益次郎【村田蔵六(1824−1869)】の生涯を描いた作品です。
町医者のせがれとして生まれた彼が蘭学を修めたがために数奇な運命を辿ることになります。最終的には官軍の総司令として戊辰戦争を勝利に導くのですが、それまでの過程で「日本初の国産蒸気船」を作ったり、シーボルトの娘との恋愛といった挿話などがあります。また、河合継之助は家老の子で大村益次郎は町医者の子ということで、身分制の厳しかった時代で対照的な二人に焦点を当てた作品だという点もポイントになります。「峠」を読んで気に入った方は、この作品も気に入っていただけると思います。

2位 燃えよ剣

燃えよ剣|司馬遼太郎
幕末に恐れられた暗殺集団は、武士に憧れ続けた男たちが演じた本当の武士の姿だった
幕末の京都で暗殺集団として恐れられた「新撰組」には、恐怖も感じますが、「どこかカッコイイな」と思われたことはありませんか?私は小学校の頃に「新撰組ごっこ」をするほど大好きでした。修学旅行のお土産に「新撰組」と書かれた暖簾を買ってしまいました(笑)(ちなみに推しは山南敬助です♪)
この物語では、副長の土方歳三(1835−1869)の視点で新撰組を中心とした幕末という時代の変遷が描かれています。新撰組を思想・信条を持たない人殺しの集団だと考えている方がいらっしゃるのであれば、「それは誤解です!」と最初にお断りしておきます。
私は、彼らのことをある意味「純粋なサムライ」だと思います。なぜなら、260年という間、惰眠を貪り役立たずになった「旗本8万騎」や諸大名に比べると、武士に憧れ続ける中で「武士の理想像」を作り上げ、それを忠実に守り通した浪人・百姓上がりの彼らの生き様こそが「もののふ」としてリスペクトされるべきではないかと考えるからです。「武士としていかに潔く死ぬか」という一点に彼らの思想・信条が凝縮されていたのではないでしょうか。

もちろん、そのために取った行動が「人殺し」や隊規違反による「切腹」だということについては、決して許されることではありません!自分の生き様・死に様は好きに決めてもらって結構ですが、人の命にまで手を下す権利は誰にもありませんからね。混迷する時代背景が集団ヒステリーのような狂気を生んだという解釈もあるでしょうが、どんな理由であろうと人殺しが賞賛される世の中なんてまっぴらごめんですよね。
さて、長年「鎖国」によって外国との交流がなかった日本で、ペリー来航以降、半ば強引に開港を迫られ続ける状況にあっては、「攘夷」思想が定着するのはよく分かります。また「黒船」に世紀末を連想させるような不吉な予兆を感じ取ったのか、町道場は繁盛し、腕に覚えのある若者が浪人の風体で町を彷徨いています。特に天皇のお膝元の京都では「尊皇攘夷」思想で凝り固まった浪人たちで溢れ返っていて、幕府は「毒を以って毒を制す」ために浪士組を結成します。問題は幕府体制を維持したままで外敵に備えるのか、あるいは幕府を解体して新しい仕組みを作り上げるのかです。前者は新撰組、後者の代表格は長州藩です。
この本は、農民として生まれ、ただひたすらに剣技を磨き、武士になることを夢見た少年たちの物語です。土方ファンが増えること間違いなしです。

私のおすすめ

壬生義士伝|浅田次郎
新撰組関係では、こちらもおすすめです。「泣かせの浅田」の異名に違わず号泣必至です!とてもとても美しく切ない物語です。

1位 竜馬がゆく

竜馬がゆく|司馬遼太郎
近代日本が産んだ不世出の英傑譚!龍馬の前に龍馬なし、龍馬の後に龍馬なし

多くの人が予想どおりの結果なのではないでしょうか?坂本龍馬(1836−1867)については、もはや説明の必要がないと思いますので、私の感想を言わせていただきます。
まず驚くのが龍馬の享年が31歳だということです。17歳で剣術修行のために江戸に遊学した後に帰藩し25歳で脱藩します。その後の7年という短い期間で歴史に残る数々の偉業を成し遂げているのです。私は「若いと言っても、せいぜい35、6歳くらいかな?」と漠然と思っていたので、事実を知って大変びっくりしたのと同時に「私は31歳までに何かを成し遂げただろうか?」と自分を省みずにはいられませんでした。
龍馬の最大の特徴は「人懐っこさ」でしょう。持ち前の愛嬌で勝海舟や幕府政事総裁職・松平春嶽、西郷隆盛、桂小五郎らの大物に愛されます。かと言って、媚びへつらうこともなく、計算高くもない「直球勝負」のスタイルも人を魅了します。また、時には駄々をこねたり、鼻水を袖で吹いたりと、どこか子供じみた所作・振る舞いが人間的魅力を増幅させます。かなり母性本能をくすぐられるタイプですね。「人たらし」という言い方は適切ではないかもしれませんが、その点では豊臣秀吉と同じタイプの人物だったのかもしれませんね。
次に注目したいのが、彼の創造力・想像力です。日本初となる株式会社(亀山社中→海援隊)を設立したほか、誰もが思いつきもしなかった「薩長同盟」を成功させたり、倒幕戦争突入直前に起死回生の「大政奉還」を持ち出してくるなど、常識的なスケールでは測れないほど思考が自由自在です。残念ながら彼は志半ばで非業の死を遂げましたが、彼は「どのような日本」、「どのような自分」を夢見ていたのでしょう?彼が生きていれば、日本という枠に囚われず世界に飛び立って行ったことでしょう。そして、危機が訪れた場合には誰もが「あっ」と驚く奇策で、日本を救ってくれたんじゃないか…と思いを巡らせることがあります。龍馬を見ていると、「どんな危機に陥ろうとも、諦めなければなんとかなるんじゃないか」と思わせてくれます。「できない理由を探すのではなく」、「どうすればできるのか」を常に考えて行動する超ポジティブ思考は、ビジネスの成功者の多くに通底するものがあるのではないでしょうか。
「この先いつまでも彼の姿を見ていたかった」、女にそう思わせるある種危険な男の物語です。
全8巻と超大作ですが、竜馬の魅力のおかげで退屈することなくサクサク読み進めることができるので、長編が苦手な方でも大丈夫です。私は、何かに躓くたびに何度も読み返し、元気をもらっています。

40代男性

高校生以来、30年ぶりに読み返してみた。当時は理解できなかった社会や組織の矛盾、人生の壁、人心の把握の難しさを感じながら、一語一語大切に読んだ。
武田鉄矢さんが若い時に読んで大きな影響を受けたように、紛れも無くこれは青春小説である。そして、青春は年若のものにあるだけでは無い。吉田拓郎氏が歌うように「老けた心などもつな」であり、人は永遠の青春を生きる。
その後、この小説のあまりの人気を受けてその矛盾点や龍馬が過大評価されすぎであるなどの多くの論が起こっている。しかし、そんなことはどうもよい。これは歴史小説、青春小説なのだ。その価値は筆者の死後20年を超えてもなんら失われていない。そうでなければ、電子書籍でわざわざ合本を出すものか。amazonの商品企画力に感謝する。

40代男性

竜馬がゆくは、私の価値観を大きく変えた本の中のひとつ。手元に置いておき、いつでも読めるように全巻買いしました。
この自己投資で人生が潤うのであれば、安い買い物です。迷ってる方は、是非購入すべき!司馬遼太郎は、人の心に火を灯すのが非常に上手である。この本で、一体何人の人たちが武者震いをし、大志を抱くようになったことか。下手な自己啓発本や流行本を買って、短期的にやるきを起こすぐらいなら、絶対に「竜馬がゆく」を読んだ方がためになる。

坂本龍馬のマンガ

活字が苦手という方にはマンガもあります。
鈴ノ木ユウ|原著:司馬遼太郎

おーい!竜馬|原作:武田鉄矢、作画:小山ゆう

まとめ

アンケート調査結果を基に「40代が選ぶ歴史小説|幕末ベスト3+α」をご紹介しましたが、いかがだったでしょうか?

幕末は日本最大の激動期で、明治維新という革命前夜の膨大なエネルギーに満ちていることが伝わってきます。そして、そのエネルギーは「尊王攘夷」というイデオロギーに集約されて一極集中型の爆発的な力を生み出しました。

また、江戸時代を通じて定着した格差システム(藩:親藩、譜代、外様、人:各藩の身分制度)に対する反発力がそこに加わったことにより、その爆発力は新しい時代を望む人々から熱烈な支持を受けたのでしょう。

今現在、私たちの身近な世界でイデオロギーの対立という構図はありませんが、誰もが潜在的な力や願望を内に秘めたまま、行き場のないエネルギーをうまく処理できず消化不良になっている気がしています。そのような「時代の閉塞感」を打ち破るためのヒントが幕末に隠されているのではないでしょうか。

教科書では決して教えてくれない私たちの道標となる先人たちの叡智を探究するために歴史を紐解いてみませんか?そこには、結末だけでは知ることができなかった人生のドラマが描かれています。

最後まで読んでいただきましてありがとうございました。

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この記事を書いた人

公務員を辞めてブログ執筆を中心に活動中。
好きなことは読書、コーヒー、家電、美容などです。自分が疑問に感じたことや自分で実際使ってみてオススメしたいものなどについて、初心者の方でも分かりやすいように説明することを心がけています。よろしくお願いします。

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