こんにちは、元公務員のharukaです。私はうつ病を発症し長期休職後に復職し、再発によって休職し、結局退職しました。(退職後も通院しています)そんな私の経験を基に、あなたに寄り添った記事が書けるよう心がけています。
公務員の30%が潜在的なうつ病の症状に悩まされており、そのうち10%の人が重症となり1ヶ月以上の長期療養が必要になっています。
もしも、自分の部下や同僚がうつ病を発症すると、そのしわ寄せは自分や組織に跳ね返ってきます。本人の苦しみに加えて、ただでさえ人手が足りないのに、頼りになる戦力を失うのは組織にとっても大きな損失になります。特に公務員バッシングや理不尽なクレームが増加している昨今においては、上司として今まで以上に部下の健康管理に目配りする必要があります。
この記事では、うつ病の前兆となるサインや対処の方法など、上司が部下の健康状態を把握する上で知っておきたい事項について、丁寧に詳しく解説します。
部下や同僚が悩みを抱えているようだ
昇進して部下ができたが、どのように接していいか分からない
地方公務員のうつ病について
いつの時代も「公務員バッシング」はありますし、自分のストレス発散のためとしか思えないような理不尽なクレームを受けることも日常茶飯事でしょう。特に新型コロナウィルスの影響で人心も荒んでいる現在にあっては、公務員への風当たりはより一層強くなっています。そのような状況の中で、心疾患による公務員の長期休職者は毎年増加しています。
この章では、一般財団法人地方公務員安全衛生推進協会が毎年実施している「地方公務員健康状況等の現況調査」の令和3年度(令和3年4月1日~令和4年3月31日)の調査結果概要を引用して説明します。(調査結果概要のすべてをご覧になりたい方はこちらからご覧いただけます。当該法人ホームページのPDFファイルが開きます。)
地方公務員の精神障害等による長期病休者数は15年前の2倍超
上のグラフは「一般財団法人地方公務員安全衛生推進協会」が発表した地方公務員80万人を対象とした調査結果ですが、長期病休者数(1ヶ月以上の療養者)は「10万人当たり3,017.6人」と、前年度より223人(7.39%)増加しています。(図1参照)
そのうち「精神及び行動の障害」が原因の人が「10万人当たり1,903.3人」で、長期病休者の63.1%を占めていて、前年度より190人(9.98%)増加しています。その数は15年前(平成18年度)の2倍超にも達しています。(図2参照)
図を見ると一目瞭然ですが、右肩上がりに上昇している傾向があることが分かります。特に令和1(2019)年度以降に急上昇していますが、2019年12月に新型コロナウィルスが発見され、その後数カ月で世界的なパンデミックを引き起こしたことと関係があるのかもしれません。
近年、少子化・高齢化に加えてデジタル推進などの分野に関する国の新規事業の増加などに伴い、地方公務員の仕事は非常に雑多になってきています。「スクラップ」することなく「ビルド」されるので業務量が増加する一方です。それにもかかわらず固定費削減のため人員は抑制されているので、職員一人当たりの負担量も増加しています。
さらに、病休や産休・育休職員の代替として会計年度任用職員や臨時的任用職員が採用されますが、実際には正規職員と同等の業務を行うことはできないので、他の正規職員の負担が増えるという悪循環が起こります。
国家公務員|うつ罹患者増加傾向、若年層の意識に変化
人事院が作成したガイドブック「国家公務員とメンタルヘルス」によれば、「心の疾病」が原因の長期病休者は一旦は減少傾向にありましたが、平成28年度から3年連続で増加しています。
うつ病の症状
うつ病は心だけではなく、身体の症状として表れることもあります。また、うつ病になると日常生活に悪影響を及ぼすことがあります。
「仕事に行きたくない」、「職場には何とか行けるものの仕事に集中できない」、「今まで当たり前にできていたことができない」、「人付き合いがおっくうになって誘いを断る」といったことが目立ちはじめてきます。
不安や焦燥感に駆られる
すぐにイライラする
消えてしまいたいと思う
興味や喜びの喪失(何をしても楽しくない)
意欲の低下(何をするにも億劫)
会話や本の内容が頭に入ってこない(集中できない)
自己否定(自分を責める)
食欲がない
動悸、口が渇く
身体が重い、痛みがある(肩こり、腰痛、頭痛など)
疲れやすい、身体がだるい
うつ病のサイン
あなたの部下や同僚に次のような変化が見られたら要注意です。本人は無意識のうちにサインを出しているので、そのサインを見逃さないでください。心の病気は本人が気付かないうちに重症化することが多いので、周囲の人間も気をつけましょう。
仕事の能率が下がる(時間外勤務が極端に増えた)
積極性や決断力が低下する
表情が暗くなり元気がない
口数が減り、職場でのコミュニケーションが取れていない
身だしなみがだらしくなる(髭を剃らない、髪がボサボサ、服がシワだらけ)
遅刻、早退、欠勤が増える
食欲がない
飲酒による問題を起こす(喧嘩、泥酔、いつも酒臭い)
頭痛や肩こりなど体調の悪さを訴える
「辞めたい」、「異動したい」と言う
常に余裕がないように見える(談笑することもなく一心不乱に仕事をしている)
うつ症状がある職員への対処法
うつ病の原因
うつ病はストレスが原因だと考えられていますが、ストレスには「仕事上のストレッサー」と「仕事外のストレッサー」があります。
- 長時間勤務
- 過度な心理的負荷のかかる勤務
- 上司・同僚・部下との人間関係
- 昇進・異動・組織改編などによる職場環境の変化
- パワーハラスメント
- セクシャルハラスメント
- 親との関係(養育環境、親の介護など)
- 子育て
- 夫婦関係
- 病気
- 恋人・友人との関係
ストレスを軽減するための緩衝要因
職場に全ての原因があるとは限りませんが、職場のストレスを軽減し、ストレスを緩和する緩衝要因を強化することで部下や同僚のストレスを軽減することができます。
相談相手の確保
精神的なフォロー
裁量範囲を増やす(事細かに指示しない)*
達成感を与える
適切な業務量
参考図書
「マインドフルネス」には、ストレスを和らげる効果があります。静かな場所で自分の呼吸に集中することで、雑多な日常を離れて「自分が存在していること」、「心の動き」、「身体の状態」などをセルフモニタリングできます。寝転んだ状態でもできるのでおすすめです。マインドフルネスをしていると、そのまま眠ってしまうほどです。考案者のJ.カバットジンの著書は、とても分かりやすく丁寧に書かれているのでおすすめです。私の苦しい時期を救ってくれた本です。
精神疾患を患っている人は「認知」(物事の捉え方)に歪みが生じています。コップに半分の水がある状態で「半分しか水がない」と捉えるのか、「半分も水がある」と捉えるのかの違いです。認知に歪みがある場合、とかく極端な考え方になりがちです。この本は患者さんだけでなく、それをケアする人に向けた本で、とても分かりやすく解説してあるのでおすすめです。
上で紹介した「認知行動療法入門」の著者:伊藤絵美さんの著書です。マインドフルネスに加えて「生きづらさ」の原因となる根源的認知「スキーマ」に対処する方法が分かりやすく説明してあります。こんな本が職場にあってもいいんじゃないかと思います。
まとめ
公務員のうつ病による長期休暇は、年々増加しています。本人にも自覚がないまま症状が進行するので、ある日突然仕事に行けなくなるというケースもあります。
精神疾患による離職は、本人だけでなく職場にとっても大きな不幸です。しかし、早い段階で発見し対策を講じれば、それを防ぐことができます。
業務管理の他に部下の健康管理もすることは大きな負担だろうと思います。ですが、部下を救えるのはあなただけかもしれません。あなた自身の健康にも留意した上で、部下にも気を配ってください。よろしくお願いします。
最後まで読んでいただきましてありがとうございました。
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